そこに在ったいのちのほとばしり

安田登さんからのメッセージ

 
歴史のなかには「あわいの時代」と呼べる時代があります。「あわい」とは「逢う」に由来する語で、二つのものが重なり合うことを意味します。したがって「あわいの時代」とは、前の時代と次の時代が重なり合う過渡期を指します。
青松寺が開創され、能楽が完成した室町時代もその一つでした。そして、AIが急速に発達しつつある現代もまた「あわいの時代」といえるでしょう。
「魚の目に水見えず」と言われるように、「あわいの時代」のただ中にいる人は、自分がそこにいることに気づきません。しかし、その変化は無意識のうちに心身へと及んできます。ひとつは、漠然とした閉塞感です。これまでの方法ではうまくいかなくなる。取り残されたように感じたり、軽んじられているように思うこともある。そうした感覚は、心の不調や身体の不調として表れることもあります。しかし、だからこそ、そこには新たな「いのちのほとばしり」の可能性がひそんでいます。ジェットコースターが急落のあとに一層高く昇るように、「あわいの時代」の閉塞感こそが、次なる「いのちのほとばしり」への兆しなのです。
見えない未来を考えるためには、はるかな古代をふり返るのが最もよいでしょう。甲骨文字や能の世界を読み解きながら、生成AIと身体性の可能性について考えていきたいと思います。
 

安田登さんご紹介

1956年千葉県生まれ。下掛宝生流ワキ方能楽師。
大学時代に中国古代哲学を学び、20代前半に漢和辞典の執筆に携わる。25歳のとき能に出会い、鏑木岑男師に弟子入り。能楽師のワキ方として活躍するかたわら、論語と謡曲を中心とした寺子屋「遊学塾」を全国各地で開催。著書に『能-650年続いた仕掛けとは-』『異界を旅する能-ワキという存在-』『あわいの力』『日本人の身体』『三流のすすめ』など多数。NHK・Eテレ「100分de名著」講師・朗読:『平家物語』・『太平記』/『ウェイリー版・源氏物語』は11月に再放送予定
「和と輪」安田登
 

開催概要

日時 令和7年10月26日(日)13:30~15:45
会場 青松寺 貝塚ホール(椅子席)
費用 一般の方は500円
申込 次の申込フォームより10/22迄にお申込みください。
 申込フォーム
※順じてFAXでも受付けます。氏名・ふりがな・電話番号・ご住所・
お立場(一般/檀信徒)を03-3431-3536までお送りください。
 
・受付・開場は13時からとなります。
・参加を希望される方は10月22日までにお申込みください。
・同居するご家族については一緒にお申込みできます。
・受付完了のメールをお送りしますので、メールアドレスを必ずご記入ください。
・キャンセルの場合は早めにご連絡ください。