獅子吼林サンガ
獅子吼林サンガとは
現在の青松寺獅子吼林サンガの活動は、2003年5月に始まりました。
青松寺が現在の地に落ち着いた1600年頃は、寺中に「獅子窟」僧堂があり幾多の人材を輩出していました。明治八年(1875年)、獅子窟学寮内に曹洞宗専門学本校が開校。翌年、駒込吉祥寺の旃檀林と合併し、今日の駒澤大学へと連なっていきました。
大正十二年(1923年)の関東大震災にて堂塔は烏有に帰してしまったのですが、歴代住職と檀信徒の青松寺復興に寄せる篤い願いが、現在の獅子吼林サンガの存在につながっています。
詳しくは、青松菩提場をご覧ください。
獅子吼林サンガは僧侶の修行道場であるほか、僧侶の方を中心とした宗派を超えた勉強会や、一般の方を対象とした参禅会(坐禅会)も開催しています。
獅子吼林サンガ活動報告
「学生を対象にした宗教教育」
獅子吼林サンガではここ数年、年に数回、大学、留学生支援団体、ボーイスカウトなどの教育機関や教育団体からの依頼を受け、学生向けの研修として、仏教についての講義、また坐禅指導を行う機会があります。
その一環として、2017年12月13日には、日本赤十字看護大学・井上忠男先生の基礎ゼミの学生たち12名を受け入れ、「仏教おける幸福感」についての講義、坐禅指導を行いました。同ゼミでは「シアワセについて考える」をテーマとし、毎年、課外授業として、キリスト教教会やイスラム教モスク、仏教寺院を訪問し、さまざまな宗教における人生観および幸福感について勉強しています。昨年も同内容で受け入れを行い、今年も引き続き、仏教の幸福感について担当させていただきました。
日本の教育課程において、宗教の基礎知識を学べる機会というのは、宗教団体が運営に関わる私立の学校でないかぎりなかなかありません。そのため、このような機会をいただいた際は、かならず「宗教の存在の意味」「宗教の違い」「カルト宗教の定義」などといった宗教概論的な内容を混ぜてお話しするようにしています。参加者の中には、初めて寺院の中に入った者、初めて仏教の教義について知った者も多く、このような体験を通して、今後、若者たちがグローバルな社会で活躍することが期待される時代、さまざまな文化背景を持つ人々とも偏見なく、自由に交流ができる社会人として成長していってくれることを心より望みます。
日本赤十字看護大学の生徒さんたちからの感想を一部ご紹介します。
「坐禅を行なった後に聞かせていただいたお話の中で特に印象に残ったのは『死んだあとに人はどうなるか』というお話です。今まで『死』というものは何だろうと何回か考えたことはありますが、いずれも結果にまで達したことはなく謎のままでした。実際に自分が死ぬまでわからないと思って答えを探さなくて済むようにしていた自分がいましたが、お坊さん自身、自分なりの死後についての答えを持っているとお聞きし、自分も答えを見つけたいなと思いました。また、自分の両親が亡くなる前に答えを見つけた方がいいというお話を聞いて感銘を受けました。答えを見つけぬ間にそのようなことが起こってしまったとき、何か自分の中にひっかかるものができてしまうのではないかと思ったからです。これから看護師としてさまざまな死に出会っていくと思いますが、そのような経験を通じながら、焦らず自分なりの答えを見つけていこうと思いました。」(K・S) |
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「『仏教における幸福について』考える中で、参禅やお話を聞く前までは抽象すぎて難しいと感じていましたが、今回の体験を行なって仏教の存在がとても身近になったように感じました。はじめに青松寺さんに訪れた時、特別な雰囲気やお寺の香りを感じて、とても居心地が良くて心がすんだような気持ちになりました。お寺には人の心を落ち着かせる何か力があるのではないかと実感しました。」(R・T) |
「キリスト教がどんな教えか聞くことはよくあるが、仏教の教えをこのようにじっくり聞くことはあまりなかったのでとても良い機会だった。わからないことはわからないまま、痛みも痛みのまま、ありのままを受け止めるという考え方にはとても刺激を受けた。そんな風に考えたことはなかったし、自分で思いつかなかったことだと思うので、それについて知ることができてよかった。」(M・Y) |
青松寺サンガ講座
2005年6月より青松寺獅子吼林サンガ主催の、基本的に青年僧侶を対象とした勉強会を開催しています。
現代において個人の価値観の多様さと、人と人との関わりの希薄さに起因し、死生観は大きく揺らいできており、そのために社会に多くの問題を生じるようになりました。この講座は現代の生と死・死と生を捉えなおして学び、仏教僧としての行動に結びつけていこうとすることを目的としています。
講師またアドバイザーとして看護師さんなどにご参加いただいております。
開催要項
会費/受講料 | 不要 |
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会場 | 青松寺 |
参加対象 | 僧侶(宗派は問いません)、寺族の方 |
お問合せ | 参加をご希望の方は電話またはメールにて事前にお申込み下さい 03-3431-3575 / seisyouji@basil.ocn.ne.jp |
青松寺サンガ講座 目次
いのちに学ぶ、いのちを学ぶ
現代において個人の価値観の多様さと人と人との関わりの希薄さに起因し死生観は大きく揺らいできており、そのために社会に多くの問題を生じるようになりました。
この講座は現代の生と死・死と生を捉えなおして学び、仏教僧としての行動に結びつけていこうとすることを目的としています。
現代社会とお寺
現代社会とお寺はその関わりが薄いとよく指摘を受けます。 では、なぜそうなのか。
現代社会から見たらお寺、僧はどう見えるのか。
このことを学ぶことによって自らの在り方と、現代において私たちはどうあるべきかを考えていきたいと思います。
サンスクリット語 学習講座
言語学習と共に初期仏教の考え方や、古代インドの思想は現代の我々に何を与えてくれるかを考えてみるのが今回の講座の主な目的であります。
サンスクリット語は、古代インドの文献を記された世界で最も古い言語の一つとして知られています。古代インド思想は、自然崇拝、宗教、哲学、医学、数学また天文学などあらゆる分野に広がり、その全てをサンスクリット語を用いて展開してきました。また、文法的な構成も非常に論理的であり、他の言語にあまり見られない個性を有しています。
時代を下りいわゆる大乗仏教の初期経典もサンスクリット語で記されています。また、現在、日本の法隆寺に保存中のサンスクリット語の般若心経の写本は世界で最古の写本でもあります。
今回の講座の前半は、まず基本的な文字や文法からはじまり、実際の発音練習をしながら現在インドで使われている初心者向けのテキストを中心に単純な文章構成を学びます。また、後半には、インド文学の代表作とも言われる『バガワッド・ギータ』や初期仏教文献の『般若心経』などを講読したいと考えています。
講師:ラブガマ・ナーラダ師
サンスクリット語専攻 スリ・ジャヤワルダナプラ大学
東京大学大学院 インド哲学・仏教学 博士課程
これまで開かれた講座例
いのちに学ぶ、いのちを学ぶ
- 「終末期医療とはなにか」
- 患者さんとの対話の仕方 看護専門学校副教育主事
- ターミナルケアを学ぶ 看護専門学校副教育主事、慈恵医大病院緩和ケアチーム医師・井上大輔氏
- 「看護のこころ」看護専門学校副教育主事・病院看護師
- 「在宅医療とは」訪問看護師
- 「がん患者と家族・遺族の会゛どんぐりの会゛」
- 「千葉県鴨川市 亀田総合病院チャプレン訪問」松田卓氏
- 「東尋坊で自死者と対峙して」茂幸雄氏(NPO法人心に響く文集・編集局代表)
- 「仏者の観た生死の現場」対本宗訓師(臨済宗僧侶、医学生)
- 「エンゼルメイク(死化粧)に学ぶ看取りのこころ」小林照子氏
- 「治療的立場に立たない役割」前田宥全師(曹洞宗正山寺住職)
- 「人間にとって性とは何か」高柳美知子氏(人間と性教育研究所所長)
- 「‘性同一性障害’を知っていますか?」高柳美知子氏×虎井まさ衛氏
- 「 医療者として個々人の悩みにどう応えるか-精神科医という立場で考える病者への支援-」龍庸之助先生(精神科医師)
- 「人権を考える」〔731細菌部隊〕元隊員の証言 高柳美知子氏×篠塚良雄氏
- あなたは日本軍の三光作戦を知っていますか? 高柳美知子氏×坂倉清氏
- 「苦しむ人に寄り添うこころ~患者さんを支援して~」曽我千春氏(がん患者生活支援サービス会社 VOL-NEXT 代表取締役)
- 「『いのちの根を共にして』生と死をめぐる旅から 1・2」吉田敏浩氏(ジャーナリスト)
- 「仏教と仏教学に対する西洋人の興味」ユベール・デュルト氏(国際仏教大学院大学教授)
- 「生と死の教育」庄司進一先生(城西病院病院長・筑波大学名誉教授)
- 臨床人間学とは
- わたしの老後
- いま、わたしが病んだら
- あなたは白血病の長女の治療のために第2子を産みますか?
- 脳死になったわが子の臓器提供
- 私が交通事故で下半身麻痺になったら
- どうして自殺するのか?
- あなたの友人が自殺したら?
- 「心という治癒力をひきだす『傾聴』の基本技術」佐伯俊成氏(広島大学病院 医系総合診療科 准教授)
- 「いのちと現代を考える死生学講座①~」古澤有峰氏
- 「トラウマを持つ人のケア」小西聖子氏(武蔵野大学人間関係学部教授)
- 「家族再生の道」信田さよ子氏(原宿カウンセリングセンター所長・臨床心理士)
- 「いのちと現代を考える死生学講座①」古澤有峰氏
- アメリカで病院チャプレン組織が出来るまでの経緯について
- アメリカの病院チャプレン組織でおこなったフィールドワークについて
- 仏教ホスピス(ビハーラ)とはなにか
- 「いのちと現代を考える死生学講座②」古澤有峰氏
- 現代人の死生とその諸相(1)
・山のスピリチュアリティ〜非宗教化と再聖化の観点から〜
・「赤十字思想」再考〜宗教的中立性を巡る議論のいま•むかし〜
・心的外傷の回復とスピリチュアリティ〜ある作品の成立過程から〜
・現代人の死生とスピリチュアリティ〜ある作家の闘病記から①〜
・聖書を破るロックスター〜アメリカの社会運動と宗教•医療•いのち〜 - アメリカの病院チャプレンの実際(2)
・911:現在-過去-未来〜危機的状況下の病院チャプレンの記録〜
・戦うか戦わざるか、それが問題だ〜病院チャプレンと従軍チャプレンの“あいだ”〜
・「歩く死人」と「横たわる生者」〜多様な施設の訪問者としてのチャプレン〜
・脳死•臓器移植と病院チャプレン〜本当に「全ては神の名の下にある」のか〜
・宗派間の軋轢と論争〜「スピリチュアルケア」に異議を唱える病院チャプレン達〜
・思えば遠くに来たものだ〜病院チャプレンを長年勤めた聖職者の述懐〜 - ・コーランや仏典を持つチャプレン達〜宗教的多元主義の中の病院チャプレン〜
- 「いのちと現代を考える死生学講座③」古澤有峰氏
- 現代人の死生とその諸相(2)
・日本のスピリチュアルケア学① はじめに:第三期の導入として
・日本のスピリチュアルケア学② キリスト教とのかかわりから
・日本のスピリチュアルケア学③ 仏教とのかかわりから
・日本のスピリチュアルケア学④ 医療看護とのかかわりから
・日本のスピリチュアルケア学⑤ 多様な視点から見た可能性と限界
・日本のスピリチュアルケア学⑥ まとめ:現代人の死生観と「共同性」幻想? - アメリカの病院チャプレンの実際(2)
・病院チャプレンと「女性」① ジェンダーからスピリチュアルケアを読み解く
・病院チャプレンと「女性」② あるシスターが病院チャプレンになるまで
・病院チャプレンと「女性」③ ある尼僧の実践と述懐
・病院チャプレンと「白書」① スピリチュアルケアの意義と実践
・病院チャプレンと「白書」② チャプレンの機能と活動
・病院チャプレンと「白書」③ スピリチュアルケアの提供と利益 まとめ - 「東日本大震災と終末期緩和ケアの臨床から~仏道者の在り方を、共に模索する試み~」高橋悦堂師
現代社会とお寺
- 「お寺の経済学」慶應義塾大学商学部教授 中島隆信氏
- 「宗教法人と法律」弁護士、雨宮法律事務所、元駒沢大学学長 雨宮真也氏
- 「なぜ子どもに〈死〉を教える?死生観教育と寺院の役割」京都大学大学院人間・環境研究科教授 カール・ベッカー氏
- 「死生観と宗教そして現代①」久保田展弘氏(宗教学者)
- 唯一神教のはじまりと生・死-
- キリスト教:救世主と最後の審判
- イスラム教:神の認識と殉教
- バルカン半島と20世紀:民族の共存と対峙
- ウパニシャッドの思想と仏教の発生:輪廻・涅槃
- 生死を超えるもの:インドの歴史観と生と死の思い
- 中華思想と宗教:無の現実
- 多民族世界における仏教が持つ意味
- 「死生観と宗教そして現代②~宗教史に探る日本人の生と死と死後への思い~」久保田展弘氏
- 現代の状況から遡る歴史以前の日本
- 『古事記』『日本書紀』がもつ意味
- 仏教伝来と天皇・豪族ー国神と外国の神
- 奈良朝=律令制と仏教
- 山の宗教と比叡山・高野山ーさらに末法思想と院政が生んだもの
- 専一思想と日本人の仏教ー念仏・禅・法華経
- 中世の神道について
- 禅の形成と日本文化ー室町・戦国期の宗教事情に及んで
- 江戸時代の官学と仏教・国学
- 明治という時代がもつ意味ー神仏分離と国家神道、新宗教の台頭
- 「死生観と宗教そして現代③~仏教が現代に向き合うとき~」久保田展弘氏
- 一神教にたいし、仏教は何を語れるか
- 高齢社会と仏教
- 縁起と空
- 法華経と利益(りやく)
- 仏教と身体感覚
- 死者供養がもつ意味
- 涅槃と時間
- 仏像と仏性
- 宗教の呪術性と救済・癒し
- 経典をどう読みとるか