日々是好日
ジャータカ物語 月へいった兎
日本を代表する漫画家、手塚治虫さんの『ブッダ』にも描かれた「ジャータカ物語」をご存知でしょうか。インドから古く伝わるジャータカという経典に含まれるお話であり、お釈迦様がインドにお生まれになる前世についてが物語の主軸となっています。
なかでも有名なのが、年老いた旅人に兎が自分の身を焼いて供養したという「月へいった兎」です。 これは日本の今昔物語にも影響したとされ、「月の兎」というお話として捨身の心、慈悲行が描かれています。
仏教では、生を受けたものは皆さまざまに生まれ変わりを繰り返すという輪廻転生の考えが信じられています。果てしないほどの輪廻を繰り返し、与えられた生のなかで、修行をし徳を積むことで、悟りの境地を得られるのです。
青松寺の鐘楼堂をまわって法輪大観音様から千里社稲荷へと続く参道には、そのお話をモチーフにしたお地蔵さんが祀られています。お寺へお参りの際にはご覧になり、仏教の考え方のひとつに親しんでいただけたらと思います。
七夕そしてお盆
今年の七夕は雨の所も多かったようですが、願いごとはされましたか?青松寺では本年、七夕飾りを玄関にしつらえました。お参りにいらしたお檀家さん方が、短冊に願いをしたため、笹に飾りつけるお姿がみられます。ひと時足をとめ、自分の願いは何だろう?他の皆さんの願いは何だろう?そんな時間を少し楽しむだけでも心が穏やかにになりますよね。
青松寺では毎年7月10日に盂蘭盆会法要をお勤めしています。本年は新盆の方など堂内参列される方の人数を抑え、コロナ禍を考慮した形でのご供養となりました。
ひとりひとりが身を調えて亡きいのちに向き合い、温もりある思いで故人の御霊の安寧を願うお盆での行持は、自らの足元を明るく照らすことにも繋がることでしょう。コロナ禍にあって社会的距離を保っての日常ではありますが、それゆえに「見えないいのちとの交流」に心の眼が開く知覚の時ではないでしょうか。
本堂に並ぶお塔婆と施餓鬼棚。盂蘭盆会法要が始まります。
はなまつり
4月8日はお釈迦さまのお誕生日であると同時に、それぞれに生まれ持ったいのちの尊さ、輝きを見つめなおす日でもあります。
例年ならば近日に「はなまつり」としての催しを開いていますが、本年は現状に鑑み、それでも集うことなくお祝いをできるよう、青松寺の山門に蓮池を模した飾りを施しました。
少しでも春らしく、華やかな、心弾むような気持ちになれることを願っております。
かけがえのない、一人一人の大切ないのち
支えあい、助けあい、生きていきましょう
階段に広がる泥中百蓮華